本語り(ほんがたり)~本について語るひととき~
菱岡憲司
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本語り(ほんがたり)は、新刊・旧刊を問わず古今東西の本について語る番組です。語り手の菱岡憲司が、江戸時代の文学を中心に大学で教える研究者としての視点から、読んだ本とそれにまつわる話をゆるやかに語ります。毎週日曜日更新。
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#044 網野善彦の言葉へのこだわり/『歴史を考えるヒント』/本語り 12.09.2026 23мин網野善彦『歴史を考えるヒント』は、大学に入って最初に教わった「辞書を信用するな」という言葉を思い出させる一冊です。説明や通説を鵜呑みにせず、言葉の使われ方や史料に立ちかえって考える、その姿勢は歴史研究だけでなく、AI時代の情報との向きあい方にも通じるように思います。【言及した本】・千野栄一『プラハの古本屋』(中公文庫、2025)・網野善彦『古文書返却の旅 改版:戦後史学史の一齣』(中公新書、2026)・網野善彦『歴史を考えるヒント』(新潮文庫、2012) -
#043 入院という濃密な人間世界/『六人部屋の十三年間』/本語り 05.09.2026 24мин20歳で突如、潰瘍性大腸炎を発症し、それから13年間病室で過ごした頭木弘樹さん。6人部屋でくりひろげられる濃密な人間模様を記録し、さらに「文学紹介者」を名乗る著者による多彩な引用のおかげで、単なる闘病記ではなく、人間というものを深く見つめた優れたエッセイとなっていました。【言及した本】・頭木弘樹『六人部屋の十三年間:病室で出会った忘れられない人たち』(晶文社、2026)・頭木弘樹『絶望名人カフカの人生論』(新潮文庫、2014) -
#042 世界で聴かれる北海道のジャズピアニスト/『評伝 福居良』/本語り 29.08.2026 30минいまYouTubeやSpotifyで爆発的に再生され、世界中でファンを増やしている北海道のジャズピアニスト、福居良。しかし、生前の彼は決して世界的な名声を得ていたわけではなく、その演奏は知る人ぞ知るものでした。没後に評価が広がったその数奇な運命を、本書とともにたどってみます。【言及した本】・栗山慎二『評伝 福居良:世界をめぐる北のジャズ』(リットーミュージック、2026)・小川隆夫『マイルス・デイヴィスが語ったすべてのこと: マイルス・スピークス』(小学館文庫、2026)・エイダン・レヴィ、小田中裕次訳『ソニー・ロリンズ伝』(亜紀書房、2026)・立花隆『シベリア鎮魂歌:香月泰男の世界』(文藝春秋、2004) -
#041 火野葦平のもうひとつの代表作/『花と龍』/本語り 22.08.2026 22мин「本語り」39回で紹介した中村哲の評伝『炎と水』。その中村哲の母の兄が火野葦平であり、火野葦平の父にあたるのが、沖仲仕の親方として知られた玉井金五郎です。火野葦平『花と龍』には、玉井金五郎と妻マンの生き様が描かれており、とりわけ「顔」にこだわらない姿勢に感銘を受けました。【言及した本】・火野葦平『花と龍 上下』(岩波現代文庫、2006)・山岡淳一郎『炎と水:中村哲と名もなき人たちの旅』(集英社、2026)・『糞尿譚・河童曼陀羅(抄)』(講談社文芸文庫、2007)・火野葦平『麦と兵隊・土と兵隊』(角川文庫、2021)・村上龍『五分後の世界』(幻冬舎文庫、1997)・竹本三郎兵衛、頼桃三郎校『艶容女舞衣:三勝半七』(岩波文庫、1939)・曲亭馬琴『三七全伝南柯夢』・本居宣長『紫文要領』(岩波文庫、2010) -
#040 ビルって自力で建てられるの?/『蟻鱒鳶る!』/本語り 15.08.2026 21мин東京都港区三田に土地を買い、業者に頼まず自力でコンクリートを打って、20年かけてビルを建てる――そんな離れ業をやってのけた岡啓輔さん。そのライフヒストリーも興味津々です。【言及した本】・岡啓輔『蟻鱒鳶る!:自力でビルを建てた男』(ちくま文庫) -
#039 中村哲、勇ましい高尚なる生涯/『炎と水』/本語り 08.08.2026 23мин内村鑑三のいう「勇ましい高尚なる生涯」すなわち「後世への最大遺物」とは、まさに中村哲のことです。その中村哲のことを、関係者への徹底取材をもとに、時代とともに描き出す、みごとな伝記が誕生しました。【言及した本】・山岡淳一郎『炎と水:中村哲と名もなき人たちの旅』(集英社、2026)・中村哲『医者、井戸を掘る:アフガン旱魃との闘い』(石風社、2001)・五木寛之『青春の門 第一部~第八部』(講談社文庫、Audible)・内村鑑三『後世への最大遺物・デンマルク国の話』(岩波文庫、2011)・原尞『ミステリオーソ』(ハヤカワ文庫、2005) -
#038 アンガー・マネージメントの反面教師/『ロミオとジュリエット』/本語り 01.08.2026 20минかつて小田島雄志訳で読んだシェイクスピア。その孫の小田島創志さんによる新訳で読むと、こちらも年齢を重ねて、これはアンガー・マネージメントの反面教師だな、という思いを抱いてしまいました。【言及した本】・シェイクスピア、小田島創志訳『ロミオとジュリエット』(光文社古典新訳文庫、2026)・シェイクスピア、小田島雄志訳『ロミオとジュリエット』(白水uブックス、1983)・シェイクスピア、松岡和子訳『ロミオとジュリエット』(ちくま文庫、1996)・シェークスピア、坪内逍遥訳『ザ・シェークスピア』(第三書館、1989)・シェイクスピア、小津次郎訳『十二夜』(岩波文庫、1960)・丸谷才一『合本 挨拶はたいへんだ』(朝日文庫、2013) -
#037 終わりなき研鑽の日々/『ソニー・ロリンズ伝』/本語り 25.07.2026 23минジャズ界最後の巨人ソニー・ロリンズが95歳で亡くなりました。折しも発刊された邦訳『ソニー・ロリンズ伝』を読むと、幾度かのサバティカルをはさみ、生涯、吹いて吹いて吹きまくった、終わりなき研鑽の日々がうかがえます。【言及した本】・エイダン・レヴィ、小田中裕次訳『ソニー・ロリンズ伝』(亜紀書房、2026)・松本俊彦『身近な薬物のはなし:タバコ・カフェイン・酒・くすり』(岩波書店、2025)・クインシー・トループ、中山康樹訳『マイルス・デイビス自叙伝Ⅰ・Ⅱ』(宝島社文庫、1999)・ジェイムズ・ギャビン、鈴木玲子訳『終わりなき闇:チェット・ベイカーのすべて』(河出書房新社、2006)・エッカーマン、山下肇訳『ゲーテとの対話(中)』(岩波文庫、1969) -
#036 『深夜特急』の忘れ物をさがす旅へ/『途上の王国』/本語り 18.07.2026 24мин沢木耕太郎『深夜特急』では、スペインからモロッコのマラケシュに行くか、予定どおりロンドンに行くかを迷い、後者を選択して旅を終えていました。それから年を経て、マラケシュへの旅を突如、思い立ち、バックパックを背負って予定のない旅に向います。「人・本・旅」にあふれた本書の魅力を語りました。【言及した本】・沢木耕太郎『途上の王国:⼀号線を北上せよ モロッコ天涯編』(スイッチ・パブリッシング、2026)・沢木耕太郎『春に散る』(朝日文庫、2020)・沢木耕太郎『深夜特急 1~6』(新潮文庫、1994)・山田鐘人原作、アベツカサ作画『葬送のフリーレン』(少年サンデーコミックス)・沢木耕太郎『天路の旅人』(新潮社、2022) -
#035 香月泰男シベリア・シリーズの衝撃/『シベリア鎮魂歌』/本語り 11.07.2026 26мин戦後最大の作家香月泰男の世界を、立花隆が浮き彫りにする。シベリア抑留により、アルチザンとして死に、アルチストとしてよみがえった香月泰男がシベリア・シリーズを生み出す舞台裏を語ります。【言及した本】・立花隆『シベリア鎮魂歌:香月泰男の世界』(文藝春秋、2004)・立花隆『青春漂流』(講談社文庫、1988)・小川隆夫『マイルス・デイヴィスが語ったすべてのこと: マイルス・スピークス』(小学館文庫、2026) -
#034 菊五郎の演じる「じいさんばあさん」/『阿部一族・舞姫』/本語り 04.07.2026 32мин2026年六月博多座大歌舞伎は、八代目尾上菊五郎の襲名披露公演でした。「茨木」の見事さもさることながら、森鷗外原作の「じいさんばあさん」は、原作・歌舞伎それぞれの魅力が満載で、そこから?外作品を再読しました。【言及した本】・森鷗外『阿部一族・舞姫』(新潮文庫、2006)・森鷗外『渋江抽斎』(岩波文庫、1999)・森鷗外『ヰタ・セクスアリス』(新潮文庫、1993)・山本芳久『トマス・アクィナス 理性と神秘』(岩波新書、2017) -
#033 認知の歪んだ人物を視点にすえたマインド・トリップ小説/『春にして君を離れ』/本語り 27.06.2026 20минアガサ・クリスティーが別名で発表した小説。認知の歪んだ人物を視点にすえて、ほとんどマインド・トリップで小説を展開させる離れ業。これはまぎれもないイギリス文学です。【言及した本】・アガサ・クリスティー、廣野由美子訳『春にして君を離れ』(光文社古典新訳文庫、2026)・アガサ・クリスティー、青木久恵訳『そして誰もいなくなった』(クリスティー文庫、2010)・アガサ・クリスティー、加島祥造訳『ナイルに死す』(Audible)・ジョージ・エリオット、廣野由美子訳『ミドル・マーチ 1~4』(光文社古典新訳文庫、2019-21)・モーム、行方昭夫訳『お菓子とビール』(岩波文庫、2011)・カズオ・イシグロ、土屋政雄訳『日の名残り』(ハヤカワepi文庫、2001)ダンテ、平川祐弘訳『神曲 地獄篇』(河出文庫、2008) -
#032 名前だけ知ってるトマス・アクィナスとは/『トマス・アクィナス 理性と神秘』/本語り 20.06.2026 23минそもそも『神学大全』とは邦訳で全45巻もあり、しかもそれはトマス・アクィナス全著作の7分の1でかないそうな。そんな知られざるトマス・アクィナスとその思想に、わかりやすさのために本質を犠牲にすることなく迫ったのが本書です。【言及した本】・山本芳久『トマス・アクィナス 理性と神秘』(岩波新書、2017)・加藤喜之『福音派』(中公新書、2025)・八木谷涼子『なんでもわかるキリスト教大事典』(朝日文庫、2012)・山本芳久『キリスト教の核心をよむ』(NHK出版、2021)・山本芳久『三大一神教のつながりをよむ』(NHK出版、2025)・山本芳久『ローマ教皇:伝統と革新のダイナミズム』(文春新書、2025)・山本芳久『世界は善に満ちている:トマス・アクィナス哲学講義』(新潮選書、2021) -
#031 ケニア人留学生の秘密に迫る/『アフリカから来たランナーたち』/本語り 13.06.2026 26мин箱根駅伝で日本人選手をごぼう抜きにしていくケニア人留学生。誰もが知っているけど、実態を知らないケニア人ランナーの秘密に、現地調査と関係者取材で迫り、驚きの実態をあきらかにしてくれます。【言及した本】・泉秀一『アフリカから来たランナーたち:箱根駅伝のケニア人留学生』(文春新書、2025) -
#030 石川啄木七変化/『啄木ごっこ』/本語り 06.06.2026 22мин夭折の天才歌人? ダメ人間? ナルシスト? キャッチーで素朴に見える歌だけに引きずられず、五つの物差しで真相に迫り、啄木を演じている啄木の多様な姿を浮かび上がらせます。【言及した本】・松村正直『啄木ごっこ』(KADOKAWA、2026)・五木寛之『青春の門 第三部 放浪篇』(Audible)・石川啄木『一握の砂・悲しき玩具:石川啄木歌集』(新潮文庫、1952) -
#029 過去を振り返るが模倣しない/『マイルス・デイヴィスが語ったすべてのこと』/本語り 30.05.2026 20мин帝王マイルス・デイヴィスとの交流から浮かび上がるあらたな側面。マイルス好き、ジャズ好きにはたまらない、小川隆夫さんによるインタビューの数々です。【言及した本】小川隆夫『マイルス・デイヴィスが語ったすべてのこと: マイルス・スピークス』(小学館文庫、2026)クインシー・トループ、中山康樹訳『マイルス・デイビス自叙伝Ⅰ・Ⅱ』(宝島社文庫、1999)小川隆夫『愛しのジャズメン』(Audible)小川隆夫『愛しのジャズメン 2』(Audible)小川隆夫『ジャズ楽屋噺』(Audible) -
#028 江戸の空気は自由にする?/『将軍の都の客人』/本語り 23.05.2026 22мин9回のプロポーズ、5度の結婚を経験した寺娘・常野(つねの)は、越後を出て江戸に向う。都市の空気は自由にする――常野の生き方は、同時代の世界の女性と共振します。【言及した本】・エイミー・スタンリー、原直史監訳、石垣賀子訳『将軍の都の客人:越後の寺娘・常野、江戸を訪う』(みすず書房、2026)・菱岡憲司『大才子 小津久足』(中公選書、2023)・原直史『日本近世の地域と流通』(山川出版社、1996)・原直史『近世商人と市場』(山川出版社、2017)・ヴィクトル・ユーゴー、豊島与志雄訳『レ・ミゼラブル 1~4』(岩波文庫、1987)・ハーマン・メルヴィル、八木敏雄訳、『白鯨 上 中下』(岩波文庫、2004)・曲亭馬琴、濱田啓介校訂『南総里見八犬伝 1~12』(新潮日本古典集成、2003~2004)・西鶴、横山重校訂『好色一代女』(岩波文庫、1960)・足立巻一『やちまた 上下』(中公文庫、2015) -
#027 本多静六という生き方/『私の財産告白』/本語り 16.05.2026 20мин投資に興味を持ったなら、本多静六の生き様をぜひとも知りたいもの。学問・労働を道楽にし、お金に支配されない人生を、豊富なエピソードと処世訓とともに教えてくれます。【言及した本】・本多静六『私の財産告白』 (実業之日本社文庫、2013)・バートン・マルキール、井手正介訳『ウォール街のランダム・ウォーカー:株式投資の不滅の真理』(日経BP、2023)・チャールズ・エリス、鹿毛雄二・ 鹿毛房子訳『敗者のゲーム』(日本経済新聞出版、2022)・ジョン・C・ボーグル、石塚順子訳『航路を守れ: バンガードとインデックス革命の物語』(幻戯書房、2021)・本多静六『私の生活流儀』 (Audible)・本多静六『人生計画の立て方』 (Audible) -
#026 最強コンビとめぐる日本の名建築/『日本建築集中講義』/本語り 09.05.2026 21мин藤森先生と山口画伯に案内される、13+αの日本の名建築。贅沢にも、二人のフィールドワークに同行しているような気持ちになり、知識と感覚の両面から、日本建築の見方を刷新してくれます。【言及した本】・藤森照信、山口晃『日本建築集中講義』(中公文庫、2021)・山本昌仁『近江商人の哲学:「たねや」に学ぶ商いの基本』(講談社現代新書、2018)・高野秀行、清水克行『世界の辺境とハードボイルド室町時代』(集英社文庫、2019)・藤森照信、山口晃『探検! 東京国立博物館』(淡交社、2015) -
#025 中国は野良宗教パラダイス/『中国TikTok民俗学:スマホからはじまる珍神探訪』/本語り 02.05.2026 19мин共産主義国家だから宗教が規制されている? いやいや、中国は野良宗教パラダイスでした。そんな中国の民間信仰に、中国版TikTokの活用という斬新な手法で切り込み、徹底したフィールドワークで驚きの現実を浮かび上がらせる。中国のいまが見える快著でした。【言及した本】・大谷亨『中国TikTok民俗学:スマホからはじまる珍神探訪』(NHK出版新書、2025)・難波淳『黄色い風の吹く街へ』(凱風社、1992)・難波淳『唾と大地と水餃子: 肌で触れた中国の人と風景』(主婦の友社、1986)・星野博美『転がる香港に苔は生えない』(文春文庫、2006)・星野博美『謝々! チャイニーズ』(文春文庫、2007)・星野博美『愚か者、中国をゆく』(光文社新書、2008)・大谷亨『中国の死神』(青弓社、2023)
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